「あれが術具の蛇……、デカい。見た事もないくらい巨大なんだけど、あの、えぇと、その…………妖獣世界の蛇って、なんだかすごいんだね」
『お前、今、後半でいっぱいになって感情ごと丸投げしただろ。妖獣世界の蛇っつったって、全部があんなんじゃねぇからな?』

 それホントなのかな、とラビは思ってしまう。だって大蛇は、民家一つくらいペロリと食べてしまいそうなほど巨大だったのだ。分厚くなった盾のような、蛇皮の一枚ずつまでハッキリと見えるくらい大きい。

 下からこちらを見上げた三人盗賊団のベック達が、ゆるやかに高度を下げてくるラビの姿に気付いて、遅れてわたわたと騒ぎだした。

「おいおいおいっ、凶暴なガキが落下してくるぞ!」
「兄貴ッ、蛇のところに落ちたらどうする!?」
「どうにかして受け止めなきゃだぜッ」

 そばにいたヴァンが、片耳に指を突っ込んで、煩いなぁと言わんばかりの表情で彼らを見やってこう言った。