地下通路を、ノエルがラビを背に乗せて風のように進む。
彼が勢いよく四肢で駆けるのを、優雅な漆黒の毛並みの下にある、熱を持った筋肉の動きでも感じていた。ラビは振り落とされないよう、しっかり背にしがみついて前方を見据える。
『このまま一気に地上に出る。風圧がきついだろうから、ちょっと息を止めてろ』
「分かったッ」
耳元でバタバタと鳴る風の音に負けないよう、ラビは叫び返して身構えた。
落ちてきた穴の真下に到着した瞬間、ノエルが四肢を踏みしめて、高く跳躍した。ごぉっという風音が上がり、真っ直ぐ上へと向かう彼の背で、呼吸を止めた数秒後、ふわりと浮遊感を感じた時には、先程の広間に踊り出ていた。
天井が少し近く感じるくらいまで、高く飛んでいた。
上昇がやんだ彼の背中から、ラビは眼下の光景を見下ろして、びっくりして声が出なかった。
中央に開いた大きな穴辺りにいたセドリック達が、気付いたようにこちらを見て目を見開いた。けれど、それにすぐ応える余裕はなかった。何故なら、彼らのいるスペースを残して、一帯を蠢く何かがびっしりと覆ってしまっていたのだ。
彼が勢いよく四肢で駆けるのを、優雅な漆黒の毛並みの下にある、熱を持った筋肉の動きでも感じていた。ラビは振り落とされないよう、しっかり背にしがみついて前方を見据える。
『このまま一気に地上に出る。風圧がきついだろうから、ちょっと息を止めてろ』
「分かったッ」
耳元でバタバタと鳴る風の音に負けないよう、ラビは叫び返して身構えた。
落ちてきた穴の真下に到着した瞬間、ノエルが四肢を踏みしめて、高く跳躍した。ごぉっという風音が上がり、真っ直ぐ上へと向かう彼の背で、呼吸を止めた数秒後、ふわりと浮遊感を感じた時には、先程の広間に踊り出ていた。
天井が少し近く感じるくらいまで、高く飛んでいた。
上昇がやんだ彼の背中から、ラビは眼下の光景を見下ろして、びっくりして声が出なかった。
中央に開いた大きな穴辺りにいたセドリック達が、気付いたようにこちらを見て目を見開いた。けれど、それにすぐ応える余裕はなかった。何故なら、彼らのいるスペースを残して、一帯を蠢く何かがびっしりと覆ってしまっていたのだ。