「…………術具を守っているモノって、つまり『大蛇』……?」
『おぅ、バカデカい大蛇だぜ。何せ妖獣界でも、特別な役割を与えられて一頭しかいない大妖獣のうち『守護の巨大白蛇』の姿を模しているからな。オリジナルと違って、魔法が使えないってのは幸いだが、同じくらいの身体能力はあると聞いた』

 おそるおそる確認してみたら、トーリがあっさり答えてきた。

 ラビは、大量の蛇に続いて、親分のような大蛇が出てくる光景を思い浮かべた。巨大であるほど、剣が通らないような硬い皮膚を持っている可能性を想像していたから、彼が口にした『一頭しか存在しない大妖獣』の部分は頭に入ってこないでいた。

 考え込むように視線を落としていたノエルが、数秒ほどじっくり思案した後、ふっと顔を上げてトーリを見た。

『その大蛇も、術具が使える後継者を待つために掛けられた魔術の一つだろう。という事は、訪れた人間の妖獣師が手に入れられる方法が、あるって事だよな?』