『触っちまったもんはしょうがねぇ。それで? 仕掛けを一つでも起こしちまった場合、どうなるんだ?』
『仕掛けを動かしたら、発動継続中の防衛と反撃の魔術に感知される』

 ノエルに確認するように問われ、トーリが改めてそう答えた。

『まず出てくるのが、砂を材料に作られた有幻影の蛇だ。本来は、宝を狙う侵入者から守るための警告用で使われていたものだが、警告レベルの設定が外れちまって、今は即排除にかかるようになってる。こいつはちょっと厄介で、少しの砂があれば何度でも蘇るし、イメージの元になった妖獣が持っていた、猛毒の一部を持っている奴も混じっているんだ。見た目の半透明さが強い蛇が、そうだ』

 トーリが、手ぶりを交えて説明した。

 よく分からない単語が混じっていたものの、どうやら唐突に現われる大量の蛇というのは、不思議な術で砂から作られているものであるらしいとは察せた。それで、『砂の亡霊』という呼び方がついたのだろうか。