「国が能力を認めて登録されている『国家獣師』だね――簡単に言ってしまえばフリーの専門家ではなく、国家に所属し従事する、対害獣を扱う専門家みたいなものかな。それは役職に勤めている人間と同じく国の保証もついている」

 なんだか、とんでもない話になっている気がする。第三騎士団の専属獣師として、そこから確実に仕事が得られる立場というのも、小さな村暮らしの未成年獣師にとって大き過ぎる事だ。それなのに、聞き慣れない『国家獣師』という名前には動揺した。

 ラビは、思わずチラリとノエルと目配せした。彼がぎこちなく頷き返すのを見て、自分と同じ事を感じたようだと察し、困惑顔をルーファスへと戻した。

「…………えぇと、その国家獣師の保証というのは、つまり当月に仕事がなくても賃金が保障されるとか、そういうやつ……?」
「そうだよ。学者や役人だってそうだろう? 国家獣師は害獣がメインになる、移動も活動も多いから、若ければ若いほど重宝される」