「あのチビ獣師には、頼れる『狼』が付いているだろ。目先の問題は、この蛇が斬れるかどうかって事だ。そうですよね、副団長?」
「ノエルの推測では、唐突に現われる大量の蛇は『仕掛けられた術』によるものらしい。その説明通りだとすると、たとえ斬れたとしても殺せるかは別問題で、その術とやらをどうにかしない限り、蛇が全部いなくなる事はないんだろう」

 圧倒的に数が多すぎる。勢いで来られた場合、ここにいるメンバーで突破出来るかと言われれば、勝算は未知だ。

 そのうえ、これら全ての蛇が、無毒なのか猛毒持ちなのかも不明なのは厄介だった。もし、確認されていない未知の毒があったら、と考えると易々と噛まれてしまうわけにもいかない。

 セドリック達は、蛇の群れが床を覆い尽くす光景を睨み据えた。大量の蛇が折り重なり合いながら、すぐそこまで迫っているのを見たベック達が、互いを抱き締めあい声を揃えて叫んだ。

「もう安全なスペースがなくなっちまうよおおおおおおお!?」