「というか、コレって何蛇なんだよ……」

 透明さがほとんどない無発光の蛇についても、図鑑でも見覚えのない柄が沢山いた。全部が同じ体長をしているせいで、折り重なった身体は、どれがどの蛇のものか分からないほどだ。

 盗賊兄弟が逃げ帰ってくる様子を、横目に睨みつけていたユリシスが、ふと、周りから次々に溢れ出てくる蛇へ視線を戻した。しばし観察し、訝しげに言う。

「気のせいですかね。随分古い時代に生息していたと言われている、絶滅種にも見える蛇がいるのですが」

 それを聞いたジンが「んなわけがないでしょう、ユリシス様」と意見し、警戒して剣の柄に手を掛けているヴァンの横から、首を伸ばして彼の方を見やった。

「そうしたら、こいつらは時代を越えて、ここに唯一生息して生き残っている蛇って事になりますよ」
「ジンの言う通りだ。それに、もしそうだとしても、ここに集まっている全部が『同じ大きさ』であるのはおかしい」