本音を言えば、片時だってそばを離れたくない。
むしろ彼女が許してくれるのなら、すぐにでも結婚してしまいたいくらいなのに、もし、誰か別の男のもとに嫁ぐとしたのなら――と、普段の冷静さがなくなったセドリックの頭は、胸の痛みをそれに重ねて、場違いな妄想に飛んでいた。
そうなったら、このような感覚に襲われるのだろう、と想像がかきたてられた直後、思考が限界を越えてプツリと焼き切れた。
近くにいたサーバルが、その音に気付いて「え」と引き攣った声を上げて振り返る。けれどセドリックは、そちらにも気が回らないまま、いつもの温厚な雰囲気もなくなった真顔で、ある方向にゆらりと身体を向けていた。
そこには、ベックを筆頭とする三人兄弟の盗賊団がいた。彼らは、端整なセドリックに絶対零度の眼差しを向けられてすぐ、「ひぃッ」と震え上がって、互いを抱き締め合った。
強烈な殺気と共に、彼が剣の柄に指を掛けるカチャリ、という音を察知したヴァンが、勢い良くそちらを見やって慌てて口を開いた。
むしろ彼女が許してくれるのなら、すぐにでも結婚してしまいたいくらいなのに、もし、誰か別の男のもとに嫁ぐとしたのなら――と、普段の冷静さがなくなったセドリックの頭は、胸の痛みをそれに重ねて、場違いな妄想に飛んでいた。
そうなったら、このような感覚に襲われるのだろう、と想像がかきたてられた直後、思考が限界を越えてプツリと焼き切れた。
近くにいたサーバルが、その音に気付いて「え」と引き攣った声を上げて振り返る。けれどセドリックは、そちらにも気が回らないまま、いつもの温厚な雰囲気もなくなった真顔で、ある方向にゆらりと身体を向けていた。
そこには、ベックを筆頭とする三人兄弟の盗賊団がいた。彼らは、端整なセドリックに絶対零度の眼差しを向けられてすぐ、「ひぃッ」と震え上がって、互いを抱き締め合った。
強烈な殺気と共に、彼が剣の柄に指を掛けるカチャリ、という音を察知したヴァンが、勢い良くそちらを見やって慌てて口を開いた。