まるでタイミングを計ったように地響きがやんで、セドリックは茫然と立ち尽くしていた。事態を察した部下が周りに集まってくるが、その声が耳に入ってこない。

 彼女が落ちていく光景が、脳裏にフラッシュバックする。押し潰させてなるものか、と無我夢中で巨大な瓦礫を蹴り飛ばしたものの、結果的にラビの姿を見失ってしまっていた。

 ノエルが穴に飛び込むのは見えていたので、無事だろうとは思うものの、目の前にしていながら彼女自身に何もしてやれず、引き離されてしまった事には冷静でいられなかった。

 新しく開いたその穴は、かなり深いのか、奥は闇が広がっているばかりで何も見えないでいる。テトやジンが、そこを覗きこんで無事を確認する声を張り上げているが、物音一つすら上がって来ない状況だった。

 手の届かないところに離れていく、という感覚で一気に貫かれた胸が、まだドッドッドッと嫌な鼓動を立てている。

 どんな形であっても、ラビを失いたくないのだ。