『なるほど、あんたってホントに魔力がないんだな。生粋の金髪金目なのに、これもまた珍しい――って、おいコラ。愛らしい動物だなぁって露骨に伝えてくる、そのキラキラした感じの眼差しを、今すぐやめろ』
「……へ? ああ、ごめん、今なんか言った?」
『しかも話はちゃんと聞けよ』

 トーリが真面目な表情で、随分年上のようにそう指摘した。

 ふうっと吐息をもらして腰を下ろしたノエルが、やや呆れた口調で『ラビは昔から、ちょっと集中力が足りねぇところもあるんだよなぁ』と思い返して呟く。

 それを聞いて、トーリが『マジかよ』とノエルの方を見た。視線をラビに戻すと、苛々した様子で腕を組んで『おい、いいか人間の子供『ラビ』』と改まって呼び、言葉を続けた。

『俺のこの姿が、そんなに愛らしいってわけか? ふざけんなよ、俺はこっちの世界じゃこんなナリをしているが、こう見えても妖獣世界じゃ、そこの犬くらいはあ――』
「すごく可愛いよ、だってオレ、ぎゅっとしたくてたまらないもの」