『…………チクショー愛らし過ぎて反対出来ねぇ。なんて十七歳にもなって、チビだった時と何一つ変わらないんだ? ずっと面倒を見ていた『ウチの子』が一番可愛い、って言う親の気持ちが、今ならよく分かる気がする……』

 多分これ親心なのか、と震える声で呟きを落とす。

 ノエルが『ぐぅ』と呻いて、『わけ分かんねぇくらい俺が弱くなってる』と、口の中でぶつぶつ続けた。ラビは、それくらいしか聞き取れなかったから「前半なんて言ったの、ノエル?」と、きょとんとして小首を傾げていた。

『ラビ。なぁ『小さなラビ』』

 しばしの間を置いて、こちらを見たわけでもないのにノエルがそう呼んだ。

「なに? というか、顔を伏せてどうしちゃったの」
『頼むから、セドリック達がいないからって、あんまり緊張感ゆるっゆるで小首傾げるのもやめてくれ……』
「何言ってんの、ノエル。オレ、気を引き締めてここに立ってるよ」

 セドリック達とは離れてしまったけれど、心強くて大好きな親友と一緒なので強い緊張や不安はない。知らない土地で初めての遺跡だ、ノエルとこうして歩いている事にわくわくしている気持ちもある。