土埃が舞って視界も悪くなる一方、ベックが気付いて目を向け「あああ!」と、恐怖を覚えた表情で指を差して叫ぶ。

「俺らを容赦なくボコボコにした『少年』……!」
「うるっさい指を差すな! なんて事してくれちゃってんだよ!?」

 ラビは、走りながら言い返した。性別を勘違いされるのは、いつもの事だと聞き流していた。

 飛んできた拳ほどの石に気付いたノエルが、ふさふさとした尻尾を振るって弾き返した時、盗賊団の一番若い男が「だってさ」と弱った様子で言った。

「そこにスイッチらしきものがあったら、お宝までの入り口だと思うだろう?」
「だからって考え無しで押すの!? バカじゃないの!?」
『馬鹿なんだろうなぁ……』
「兄貴、今、なんか第三者の声しなかった? ねぇ、これ本当にオバケがいたりすんの?」
「俺も聞こえたような――」

 そう答えかけたベックが、ハッとした様子で頭上に目を走らせた。これまでにない巨大な塊が降ってくる事に気付いて、ギョッとして叫んだ。