思い切り踏み込まれた何かが、押し込められて、ピタリとはまる嫌な感じの音がした。祭壇の近くにいたヴァンが、ひくりと口許を引き攣らせる。

 サーバルが、同じようにピキリと身体を硬直させて、「なんか、スイッチを押した……?」とぼやいた。そこから少し離れた距離で、珍しく嫌な予感を表情に滲ませるテトの隣には、ドッと冷や汗をかき始めたジンがいた。

 しん、と場が静まり返った。

 その数秒後、ガコン、と重々しい音が響き渡って建物が振動し始めた。脆くなっている壁の亀裂が大きくなり、瓦礫の残骸がパラパラとこぼれ落ちる。

 床に開いていた巨大な穴の周囲が、更に崩れて落下していく。それでも揺れは大きくなる一方で、「え」と声を揃えて固まっていた三人兄弟の盗賊団も、遅れて異変を察知し、慌ててロープを下に投げて一階へと降り始めるのを、ラビは見ていた。

「というかッ、何これ!? どうなってんのッ?」
『ラビ、そんな悠長に観察してる暇はねぇぞッ。天井の一部も崩れ落ちてくる!』
「ついでに言うと壁もだよ!」

 ラビは走り出してすぐ、落下物に気付いて反射的に避けた。