ノエルの懸念が当たったかのように、通路を進んで辿り着いた先の、開けた広々とした空間に出てすぐ、ラビ達は揃って足を止めてしまっていた。

 より多くの日差しが降り注いでいるせいで、中央部分はかなりの明るさがあった。メインの広間らしき床の表面には、少し足で擦ると線が残るほどの、細かな土と埃が白い層となって積もっている。

 その床の中心部は、大きく崩れて抜け落ちてしまっていて、庶民の一軒家が数軒収まるほどの巨大な深い穴が、ぽっかりと口を開けていた。そこからは、いくつもの地下の階層部分が見えており、この一階の床が抜けた際に、下の階層を打ち抜いて共に崩壊したのだろうと推測された。

 何かしらの祭事場だった面影は、正面の奥に見える祭壇らしき造りでなんとなく分かった。とはいえ神殿というよりは、政治的な機関として使われていたのではないかと思うほど立派だ。

 とても広い空間は円状で、壁沿いをぐるりと一周するように二階部分、三階部分に通路か傍聴の立ち見席のような物に取り囲まれている。周囲には高すぎる天井まで伸びる複数の柱があり、馬車ごと通れそうな複数の通路口もあった。