「室内なのだから、帽子は取っていいんだよ、ラビ?」
「え。あ、うん」
「今も髪は、自分で切っているのかな?」
「まぁね。前の手紙にも書いたけど、オレの方は特に変わりないよ」

 金髪に触れようとする人間は滅多にいない。幼い頃、長かった髪は剣でバッサリ切り落とした。それを見た伯爵夫人がショックを受けて、悲しそうな顔で髪を整えてくれた一件があってからは、ラビは見栄えが悪くならないよう意識して自分で散髪していた。

 思わず自身の前髪をつまむラビを見て、ルーファスが微笑ましそうに表情を和らげた。笑顔のまま、組んだ手の上に口許をあてて、こう小さく呟いた。

「――……ま、変わりがないのは知っているけどね。悪いようにする輩がいたら、定期的に様子を見に行かせている部下がなんと言おうと、俺が直々に行ってその相手を殺してる」

 ラビは、何事か聞こえたような気がして顔を上げた。パチリと目が合ったルーファスが、にっこりと笑いかけてきて首を傾けたので、つられて首をコテリと傾げる。