乱立する巨木群の太い根を乗り越えながら、ラビはノエルのすぐ後ろを付いていき、休む事なく歩き続けた。

 まだもう少しかかるだろうと思っていたら、蛇一匹見掛ける事がないまま、唐突に森が開けて、真っ平らな土地に聳え立つ巨大な建造物が姿を現した。

 それは土色をした、神殿や城のような巨大な建物だった。風化の見られる壁は痛み、所々亀裂も入っているが、蔦や苔などはなく、隅々まですっかり乾燥しているように見えた。

 建物周囲には、雑草一つえておらず、まるでここだけ森から切り離されているようにも感じた。吹き抜ける風も乾いていて、微かに古びた埃臭さが混じっている。

「すごく大きな遺跡だね……」

 思わず、ラビは圧巻されて呟いた。こんなに大きな建造物を見たのは初めてだ。そう思っているそばで、ノエルが『扉は全部外されちまってんな』と相槌を打って、こう続けた。

『こいつは、確実に神殿だな。まず目指すのは、中心地になっている祭壇だ。大抵は、真っ直ぐ進めば辿り着くが……中がどれほど崩れているのかにもよるな』