『……おい。おいラビ、感動してます、って露骨に表情に出ちまってるぞ』
「あなたは、この大きな犬に関わると、途端にバカみたいに素直になりますね」
『俺は犬じゃねぇ、狼だっつってんだろッ』

 あとラビをバカ呼ばわりするな、とノエルが叱って尻尾を振るった。

 またしても腰のあたりを打たれたユリシスが、ガバリとそちらに目を向けて「獣の尾のような衝撃を感じましたがッ」と口にした。ノエルはひらりと飛んで、しれっとした表情でラビの反対側へと移動する。

 サーバルが、用意を整えたところで、チラリと肩越しにそちらへと目を向けて、困ったようにこう呟いた。

「相変わらず、あの組み合わせになると騒がしいなぁ……」

 すると、一番の後輩であるテトが、華奢な身体に必要最低限の備えがされた非常用の小さなリュックを背負ったところで、素直さ丸出しで大先輩のサーバルを見た。

「犬って馬車酔いしないのかって、気にしている感じでしたけどね」
「…………テト、多分それ、嫌味で口にしたんだと思うよ」