「ジョッキで軽く十数杯くらいだよ。四時間は眠れるように考えて、早いうちに戻ったし」
『十数杯は軽くねぇよ』

 テトがけろっとした様子で答えてすぐ、ノエルが冷静に指摘した。

 すると、彼の向かい側でジンが「テトは第三騎士団一の酒豪なんだ」と呻くような声を上げた。

「しかも二日酔いもないとか、最強過ぎるだろ。ペースにつられて飲んじまったら、もうアウトだ」
「じゃあ飲まなければいいじゃん」
「それでも飲んじまうのが男ってもんだろ。あんな美味いもん出されて、飲まずにいられるかってんだ」

 意味が分からないと思ってしまうのは、自分が男ではないせいだろうか。

 共感出来ず呆れて黙りこんでいると、テトが親切にも、ジンは酒に弱いわけではないので、すぐ体調も戻るタイプだと教えてくれた。

「いつも飲んだ翌日は、二時間くらいは頭抱えてる」
『それ、笑顔でさらりと語っていい内容なのか……?』

 同情も深刻さの欠片もないな、とノエルが呟いた。