そんな中、姿勢を楽に腰かけて、食堂の中央席を陣取っている男達がいた。一人は顎髭を小さく残したジンで、彼は両足を投げ出すような姿勢で、体調不良を訴えるように背もたれに身体を預けて、天井を仰いでいる。

 彼の向かいには、青年未満にも見えなくもない小柄なテトが腰かけていた。第三騎士団最年少の彼は、こちらに気付くと元気に手を振って挨拶してきた。

「おはよう! よく眠れたか?」
「うん、おはよう。オレは朝までぐっすりだったけど――」

 ラビは答えながら、そばに座ったノエルと共に、テトが大きな声を出した際に目頭を「くッ」と押さえたジンを見てしまった。彼は鈍い頭痛を緩和させるかのように、続けて額の左右に手をあてて揉み解し始めている。

 この二人は昨日、ここで夕食を済ませた後に飲みに出たのだ。そう思い出して、二日酔いだろうという推測が脳裏を過ぎった。

「こいつ、かなり参ってるみたいだけど、夜はかなり飲んだの?」