セドリックの羞恥は限界を超えて、プツリと意識が途切れた。

             ※※※

 ゴッ、と鈍く響き渡った大きな音を聞いたような気がして、ラビは少し肌寒さを覚えて目を開けた。

 小さな窓から月明かりが射しこんでいるばかりで、室内は薄暗い。

 いつの間にか拘束が解除されている事に気付いて、上体を起こして目を擦った。辺りの様子を確認してみると、まるで壁際に張り付くような悪い寝相姿をしているセドリックがいた。

 いつそんな姿勢になってしまったのかは分からないが、彼は爆睡しているらしい。着たままのローブが変な具合に絡まっていて、少しばかり苦しそうに見えなくもないが、疲れもあるのだろうと思ったら、起こすような事をするのも気が引ける。

「…………ひとまず、自分の部屋に行くか」

 ラビは、自分の部屋でもう一度寝直す事を決めて、床に転がっている帽子を取って被った。

 欠伸をこぼしながら部屋を出ると、すぐそこで扉の開閉を待っていたらしいノエルが座っていた。