とてもリアルな夢である。

 抱き締めている彼女の体温と、吐息までこの身に感じた。


 そこで、セドリックは違和感を覚えた。ぎゅっと抱き締めている腕の中に、普段にはない暖かい熱があると気付いて目を開けた。確認しようと思って少し顔を下に向けると、くすぐったい柔らかな何かが顎先に触れた。

 小さな頭部の、柔らかな金色の髪が目に映った瞬間、頭が一気に覚醒した。脳裏に浮かんだ現状に「まさか」と思ってガバリと目を向けると、胸にかき抱いているラビの愛らしい寝顔が眼前に飛び込んできて、セドリックは飛び上がった。

 反射的に手を離して、ベッドの上で飛び退くように後ずさった。もう少しで悲鳴を上げる直前、狭いベッドが置かれている壁に頭を強打して、あまりの痛みに一人悶絶した。

 何故、彼女と同じベッドで寝ているのだろうか。

 痛みで覚醒した脳が、次第に眠りに落ちるまでの記憶を蘇らせた。あろうことか酒に酔って、寝惚けて彼女をベッドに連れ込み、抱き寄せた頭の髪に指を埋めて撫でたあげく、頭部に口付けを落としたのだった、と思い出した途端――