総団長の執務室の扉――実際その扉の前に立つと、王宮に降り立った当初の憂鬱が蘇った。約四年振りに、これまで手紙でしかやりとりする事が出来なかった幼馴染の一人に会えるのは嬉しいが、時と場合のせいで複雑な心境である。
セドリックがノックをすると、すぐ内側から「入れ」と、昔よりも更に深く落ち着いた美声が返ってきた。
扉が開かれると、そこは絨毯の敷かれた広い部屋で、見栄えある応接席や調度品が置かれていた。執務机の長椅子に一人の青年が腰かけており、こちらと目が合うと、綺麗という表現が相応しい柔らかな微笑を深めた。
どこか隙のない男性然とした端正な顔。蒼灰色の癖のない髪はやや長く、それでいて清潔感を損なわない程度に整えられている。弟よりも薄い色合いの藍色の瞳は、美しい造形を映えさせるような切れ長で、にっこり笑むとセドリックに少し似ていた。
現在二十四歳である彼は、十八歳という若さで王宮騎士団総団長に就任した、ルーファス・ヒューガノーズだ。少年時代から大人びていて、家族想いで勉強家、ラビが知る限り苦手な事も不得意な事もなかった生粋の天才でもある。
セドリックがノックをすると、すぐ内側から「入れ」と、昔よりも更に深く落ち着いた美声が返ってきた。
扉が開かれると、そこは絨毯の敷かれた広い部屋で、見栄えある応接席や調度品が置かれていた。執務机の長椅子に一人の青年が腰かけており、こちらと目が合うと、綺麗という表現が相応しい柔らかな微笑を深めた。
どこか隙のない男性然とした端正な顔。蒼灰色の癖のない髪はやや長く、それでいて清潔感を損なわない程度に整えられている。弟よりも薄い色合いの藍色の瞳は、美しい造形を映えさせるような切れ長で、にっこり笑むとセドリックに少し似ていた。
現在二十四歳である彼は、十八歳という若さで王宮騎士団総団長に就任した、ルーファス・ヒューガノーズだ。少年時代から大人びていて、家族想いで勉強家、ラビが知る限り苦手な事も不得意な事もなかった生粋の天才でもある。