しばし待っても返答がなかったので、ラビは「オレの話し聞いてる?」と確認して、こう続けた。

「セドったら、お酒弱い癖に普段よりも飲んで、眠っちゃっていたんだよ」
「おさけですか……?」

 気のせいか、答えたセドの舌が微妙に回っていない感じもした。

 ラビは、思わずノエルと目を合わせた。

「…………これってさ、まだ全然酔ってるって事なのかな」
『顔は素面っぽいが、酔っぱらっているんだろうなぁ……』

 ノエルは、多分駄目だなという心情を浮かべて耳を下げ、『こいつ、酒って単語が呑み込めてない可能性が高ぇな』と感想をこぼした。

 そうしていると、セドリックが不思議そうにカウンターの上のビールジョッキを見やった。白い肌はそのままであり、瞳にも良いや眠気による充血や潤みは見られないものの、どこかぼんやりとしている印象がある。

 現在の時間軸に思考を結び付けるのが難しいのか、セドリックは首を捻ったかと思うと、再びこちらへと視線を戻してきた。