「宿の予約受ける時に聞かされていたんだが、金髪や金目を見たのは初めてで……。その、子供なのに空気を読んで無理させて、俺は父親として情けないよ」

 なんだか、これまでにあまりない反応で、ラビは戸惑ってしまった。彼は自分の目や直感を信じていて、まるで感じた事を日頃からそのまま口にしているようだとも思えたから、その言葉が嘘ではないと分かった。

 村の外には、こんな大人もいるんだな……。

 ラビは涙腺が緩んでしまう気配を覚えて、少しだけ言葉が詰まってしまった。人間なんて嫌いで、彼らに関わってやるもんかと幼い頃は苛立ったものだ。

 でも本当は、拒絶される事になんて慣れるはずがないのだとも知っていた。目と髪の色が違うというだけで、受け入れられないのは、とても悲しい。だから、物心分からない幼い頃は、よく泣いた。

 でも、どうか苦労を勘繰らないで欲しいのだ。胸に残された弱い頃の自分が揺さぶり起こされて、泣きそうになってしまう。