『泥酔しているわけでもねぇんだし、ちょっと休ませればいけると思うぜ?』

 その時、注文していた定食が目の前に出された。一つの大きな皿に、一度揚げられた後に煮込まれた大きな鳥の丸焼料理とサラダ、一口サイズにカットされた見慣れない野菜が香辛料で軽く混ぜられて盛られた料理のそばには、大きなパンが二つ乗せられていた。

 予想以上の量である。まず皿の大きさからして、ラビの家には存在していない特大級のサイズだった。なんだかラオルテの町で騎士団が寝泊まりしていた、あの食堂の大盛り料理を彷彿とさせる光景である。

 中年男がカウンターに戻って、鍋などを洗うべくこちらに背を向けたタイミングで、ラビは「あのさ」と白状するように言った。

「…………コレ、見覚えある感がすごい」
『鳥の丸々一羽焼きってのも贅沢だな。骨が細かい部位は俺が食ってやるよ、骨までバリバリいける』

 火を通せばどんなものでも美食という台詞を、彼はよく口にする。多分サンドイッチだけでは物足りなかったのだろうなと思って、ラビは先に鳥肉を切り分けて、一部をこっそりノエルに分けてあげた。