確かめてみたい気もするが、それはそれでなんだか怖いな……とノエルは珍しく躊躇する気配を見せてそう呟く。

 そのタイミングでラビがサンドイッチを食べ終わり、鳥がようやく話すのをやめた。別れを見送ろうと口にして、青いネクタイを翼の先の羽を器用に使って整え直す姿は、やはりよく知っている鳥類とは違って見えた。

 ラビとノエルが立ち上がると、鳥が思い出したようにこう言った。

『ところで、そこの狼すげぇ『怖い感じ』がしてぞわぞわすんだけど――。僕、喰われたりしないよね?』
『喰わねぇよ」

 尋ねるのが遅すぎないか、普通は冒頭で確認する疑問じゃねぇのか?

 ノエルがそう目で伝えてきて、ラビは「オレもそう思う」と目で答え返して頷いた。気のせいか、先程の変わった犬と、どこか似通った部分があるように思える。

 すると、鳥が安心したように、右の翼で胸を撫で下ろす仕草をした。

『なぁんだ、心配した損したぜ。まったく、鳥寿命が縮まっちまったじゃねぇかよ兄弟』
『一気に慣れ慣れしくなったな、鳥の兄弟になった覚えはねぇ』

 ノエルが真顔で言い返した。

 器用にウインクする鳥を見たのは初めてで、ラビは「……鳥って、オレよりウインクが上手いんだなぁ」という感想を抱いた。