「――ありがとう」
『いいって事よ。あんたの笑顔が見られた、それで十分さ。僕は紳士な爺ぃ鳥だからね。そうやって笑うと、結構なかなか可愛いじゃないか』

 男の子ってのは、もうちょっと強くあってもいいと思うよ。僕が若い頃は、ネクタイなんてって馬鹿にされたけどね、文句あっかバカヤローって、よく喧嘩したものさ。人間にとって、店に入ったら全員客なんだろ? あんただって、金髪金目の何が悪いんだって言い返して、堂々と物を買っちまえばいいんだよ……

 ラビが食べ進める間、鳥は勝手にぺらぺらと話した。どうやら、男の子であると勘違いされているらしい。けれど訂正するタイミングは見付かりそうにもなかった。
 数口でサンドイッチを完食したノエルも、まるで演説するようにピーチクパーチクと喋り通す鳥を、呆れた顔で眺めた。途中でその鳥が『猫って優雅で色っぽくてキュートだよね』と語った時、『また猫かよッ』と理解し難いと言わんばかりの苦しそうな声を上げた。

『この町に関わってる動物は、一体どうなってんだ? まさか、鼠まで猫を崇拝してるってわけじゃねぇよな?』