そこで、鳥は再びラビへと目を向けた。

『あんたは見事な金髪金目だし、もしかしたら、食べる物が買えなかったんじゃないかって心配になってね。僕は年長鳥だから、人間側の暮らしや事情については、他の鳥よりも少しだけ詳しい』

 確かに販売を拒否される事はあるけれど、この町ではまだ試していない。とはいえ、まさか鳥から指摘されるとは思わなくて、ラビはなんだか恥ずかしくなった。

「まだどこにも立ち寄ってないだけだよ。宿には食事処もついてるし……」

 ラビが思わずごにょごにょと答えると、途端に鳥が『そっか』と遮るように相槌を打って、もうこの話はしまいだと言わんばかりに、自分の翼を手のように動かせて叩いた。

『いいよ、分かったから、ほらお食べ。これを食べて腹が満ちたら、町に戻る元気も湧いてくるよ』

 翼の先でサンドイッチを促され、ラビはその一つを取り出して、地面に紙袋を敷いてノエルの前に、もう一つを手に取った。そして、改めて鳥を見据えて小さくはにかんだ。