鳥は当初の楽な座り姿勢に戻り、右の翼を手のように動かしながらそう説明した。話の途中で寝静まっていた仲間達の数羽が起きると、『大丈夫、この子は俺らの味方で獣師だよ』と教えて安心させ、気にせず寝ているようにと告げた。
しばし考え、ノエルが『おい、鳥』と呼んだ。
『その遺跡に出入りした人間を見た事はあるか?』
『僕はないね。その場所を避けて迂回するように、馬車が走っていたのを目撃した事はあるけれど』
鳥から言わせれば、ザイアース遺跡はアビードの町と次の大きな都市の間の乾燥地に位置した、オアシスのような緑地帯なのだという。
都市二つ分がすっぽりと入る広さで、遺跡建造物の中心地から円を描くように木々が生い茂っている。多くの蔦が木々を覆うように伸びていて、水源があるため地面には膝丈ほどの雑草も豊富に生えているが、動物はそこに近寄らない。
『匂いを嗅いだ感じだと、沼があるようなひどい湿地帯でもない気がするし、出入りしにくいくらい植物が暴走気味に成長しているわけでもない。でも、どんな動物だって入りたがらないんだ。俺は鳥だから、法則性だとかそういう詳しい事は知らないがね、先祖の教え以前に、本能的にもっとも避けたいと感じさせる場所だ』
しばし考え、ノエルが『おい、鳥』と呼んだ。
『その遺跡に出入りした人間を見た事はあるか?』
『僕はないね。その場所を避けて迂回するように、馬車が走っていたのを目撃した事はあるけれど』
鳥から言わせれば、ザイアース遺跡はアビードの町と次の大きな都市の間の乾燥地に位置した、オアシスのような緑地帯なのだという。
都市二つ分がすっぽりと入る広さで、遺跡建造物の中心地から円を描くように木々が生い茂っている。多くの蔦が木々を覆うように伸びていて、水源があるため地面には膝丈ほどの雑草も豊富に生えているが、動物はそこに近寄らない。
『匂いを嗅いだ感じだと、沼があるようなひどい湿地帯でもない気がするし、出入りしにくいくらい植物が暴走気味に成長しているわけでもない。でも、どんな動物だって入りたがらないんだ。俺は鳥だから、法則性だとかそういう詳しい事は知らないがね、先祖の教え以前に、本能的にもっとも避けたいと感じさせる場所だ』