ラビは、自分が動物と言葉を交わせる獣師である事をざっと説明し、さっそくザイアース遺跡について尋ねてみた。すると先程の犬の推測通り、彼はあまり詳しくは知らないようだった。

『僕はこう見えて年長鳥だから、何度かあの近くを通過した事はあるけど、理由とかは分からないんだよ。ただ、先祖代々近づくなと言われているだけあって、鳥肌がぞわぞわするような、本能的な拒絶感は覚えるね。なんだか不気味な場所だよ。他の鳥もそうだけど、遺跡の間上を通過しようなんていう輩は滅多にいないな』

 この鳥は各地を旅し、色々な町を見てきた経験もあるせいか、先程の犬と違って遺跡がどんなところか理解はしているらしい。そして、かなり言葉の使い方は流暢で、癖もなく饒舌だった。

『遺跡と呼ばれている古代の歴史建造物には、たびたびお目にかかるよ。どれも深い緑に覆われていて、中には鬱蒼としているところもあるけど、それに比べるとザイアース遺跡のある森は緑が青々としていて、新鮮な水場がある匂いもする。とはいえ、本能的に入りたいとも思わないんだよ、そういうところなのさ』