ラビとノエルが見ている先で、青いネクタイをした鳥が、気だるげに大きな欠伸をこぼした。右手を口にやる姿もまるで人間染みている。

 すると、彼がこちらに気付いて、黄色い嘴が付いた顔を向けてこう言った。

『おや? ここは町の入り口からは遠いはずだけど、なんで人間の子供が――』
「あの、こんばんは。少し話を聞いてもいい?」

 そうラビが声を掛けた途端、鳥が『ぴぎょ!?』と奇妙な声を上げて飛び上がった。翼を一回上下させただけで、座った姿勢のまま尻が地面から軽く浮く様子は、思わず呆気に取られて見つめてしまうくらい見事なリアクションだった。

 その直後、鳥は膝から崩れ落ちるように地面に両方の翼を付く、という器用な姿勢を見せて、大きな独り言をし始めた。

『待て待て待て落ち着くんだ僕、こんなにもハッキリと人間の言葉が認識出来るなんて…………。はッ、もしや僕、進化したの!?』
『んなわけねぇだろ。なんでその結論に達したんだよ?』

 一羽で騒がしくなった青いネクタイの鳥に、ノエルが間髪入れずそう指摘した。