すぐにでもザイアース遺跡について尋ねたかったのだが、その犬はかなりのお喋りだった。『人間と言葉を交わせるなんて、思ってもいなかった幸運だなぁ』と、一見するとやる気のない垂れた目を向けて、こちらから質問をする隙がないくらい陽気に語り続ける。
『犬はいるけど、この一帯に猫はいないんだ。賢くて耳が早い連中だから、いてくれると有り難いんだけど、時々サーカス一座が休憩がてら立ち寄った時に、たまに顔を出してくれるくらいだな』
やつら「ご機嫌よう」なんて言うんだぜ。上品だろ?
憧れるわぁ――と、その犬は、犬らしからぬ尊敬の眼差しを浮かべてうっとりと口にした。途端にノエルが、賛同出来ないとばかりにこっそり舌打ちして『なぁにが上品だ。やつらは猫被りが得意なだけだろ』と愚痴った。
『うちの町の犬は、みぃんな猫のファンだぜ』
『おい、ソレおかしいだろ。一体どうなってんだよ、この町の犬は?』
『ははは、狼の兄ちゃんには、まだ理解出来ないかもしれないなぁ』
『のんびりと何を言ってやがる、中年犬』
『犬はいるけど、この一帯に猫はいないんだ。賢くて耳が早い連中だから、いてくれると有り難いんだけど、時々サーカス一座が休憩がてら立ち寄った時に、たまに顔を出してくれるくらいだな』
やつら「ご機嫌よう」なんて言うんだぜ。上品だろ?
憧れるわぁ――と、その犬は、犬らしからぬ尊敬の眼差しを浮かべてうっとりと口にした。途端にノエルが、賛同出来ないとばかりにこっそり舌打ちして『なぁにが上品だ。やつらは猫被りが得意なだけだろ』と愚痴った。
『うちの町の犬は、みぃんな猫のファンだぜ』
『おい、ソレおかしいだろ。一体どうなってんだよ、この町の犬は?』
『ははは、狼の兄ちゃんには、まだ理解出来ないかもしれないなぁ』
『のんびりと何を言ってやがる、中年犬』