「町の電灯が多いせいで、周囲はあったかいね」
『そうだな、比較的寒さはある程度しのげそうだ』
「ノエルの尻尾もすっごくあったか――あ。ねぇ、あそこの星って大輪の花みたいじゃない?」
『場所によっては、群星が川みたいに連なって見えるところもある。不思議と、夜空の光景だけは妖獣世界に少しだけ似てる』

 妖獣世界の星空には、光り輝く星に似せた小さな妖獣も交じっているらしい。

 ラビは、暇を潰すように語ってくれるノエルはの話に耳を傾けた。そこには昼と夜の二つの時間が存在していて、太陽の代わりに世界を照らし出しているモノが眠りに落ちると、夜がくるのだとか。

「なんだか不思議な世界だなぁ。太陽みたいな光の塊も妖獣なの?」
『一括りに言えば妖獣だが、俺らとはちょっとタイプが違うモノだ。妖獣世界では、役割をもって生まれる存在があってな。そいつらは他に同種族をもたない特徴があって、同じ妖獣の中でも『ちょっと異質な存在』なんだ』