外から見ると、アビードは建物が密集している事がよく分かった。おおよそ円形状になっていて、区画が整理されておらずごちゃごちゃと建造物が乱立している。害獣対策なのか、周囲一帯に並ぶ砂色の建物の壁には、動物が嫌がる火の色をした電灯が多く吊り下げられていた。


 砂地ばかりが続く商業町の外側を、意味もなくぐるりと一周してみた。その間にも陽は傾いていき、最後は適当な場所に腰を下ろして足を休め、カラカラに干からびた地平線の大地に沈む夕日をノエルと見届けた。

 日が沈むと、満点の星が頭上を埋め尽した。
 夜のアビードの町は、電灯が多く灯って煌々と明るかった。恐らく夜も眠らなずに人々が活動している場所なのだろう。外まで聞こえてくる人々の賑やかさの中には、日中と変わらない客引きの元気な声も多く交じっていた。

 ラビは明るい町中からは見られない星空を、長らくノエルと眺めて穏やかな時間を過ごした。ホノワ村とは星の位置が少し違っていて、それがどこか新鮮だった。