実際に歩いてみると、アビードの町は土地の広さはそれほどはないものの、建物と店が敷き詰められている場所だった。軽く一回りしてみたものの、人が溢れかえり腰を落ち着けられるような所も見付けられず、遠目から珍しい商品を眺めたりした。
 ラビは、帽子を深くかぶってノエルと歩いた。近寄らないで欲しい、という視線を周りから向けられる中、大股で歩き進んで自分の目で町の様子を見た。

 何かを買ってみたい、と思うような気持ちは湧いてこなかった。珍しい形をした装飾品や小物が目に留まったが、店を出している男や女に尋ねてみようという意欲も息を潜めていた。盗賊の一件で、少し疲れもあったのかもしれない。

 アビードの町は、土地柄や置かれている環境もあってか、珍しい事に手軽に食べられるような商品を売る屋台がない、という特色もあった。そのせいか、ノエルもどこかつまらなそうにしていた。

『周囲一帯は乾燥した大地だ。風で砂が運ばれてくるからだろうな、建物の縁にも砂が積もってる』