「お婆さん、もしかして騒ぎを見ていらしたんすか……?」
「そうだよ、子供が上から降ってきた時に近くにいてね。どうやら騎士と行動しているらしいと噂を聞いたんだけど、本当だったんだねぇ」

 とても面白いものを見せてもらった、と老婆は愉快そうに言った。近くの村から商品を売りにきた息子に付いてきたのだが、正解だったと、セドリック達が想像していたのとは違う反応を見せた。

 ジン達が、何気ない仕草で近くまで寄ってきた。老婆との話しを邪魔しないよう、少し離れた位置で足を止める。

「あたしゃ迷信なんてのは、あまり信じていないんだけどね。金色の髪なんて本当にあるもんだと、ビックリしちまったよ」

 やはりその件か、とセドリックは少し落胆してしまった。
 彼女が他者に好き勝手色々と言われているのを聞くのは慣れないな、と視線を落としてしまった時――


「綺麗だと思うよ、まるで精霊の化身みたいじゃないか」


 老婆が続けた言葉を聞いた瞬間、素早く顔を上げて見つめ返してしまった。こちらを見た老婆が「おや」と茶化すように瞳を輝かせる。