多分、『他の人間には見えない親友』に相談したのだろう。そして、その親友であるノエルは、彼女にその方法を教えたのだ。
「――……昔は、長い髪をしていたんです」
当時を思い返していたセドリックは、思わずユリシスを待っているという状況を少し忘れて、ぽつりとそう口にしてしまっていた。
特に強い反応を見せないまま、ヴァンはふぅっと煙草の煙を吐いた。意識的に冷静さを装うように煙草をゆっくり口に咥え直しながら、「スカートを履いていた頃もあったんすか」と尋ね返す。
「彼女の両親が生きていた頃には、ありましたね」
「とすると、髪は、やっぱりアレが原因ですか」
明確に言葉にはせずに訊かれて、セドリックは「きちんとした理由を教えられた事はないので、どうなのかは分かりません」と言って続けた。
「ただ、両親と死に別れた後、彼女は剣でバッサリ自分の髪を切り落としてしまったんです」
あの日以来、ラビが髪を伸ばす事はなかった。まるで過去にあった女の子らしい姿を全部否定するように、村の男の子たちよりも少年らしい衣服に身を包み、可愛らしいと呼ばさないかのように普段から顰め面で歩くようになった。
「――……昔は、長い髪をしていたんです」
当時を思い返していたセドリックは、思わずユリシスを待っているという状況を少し忘れて、ぽつりとそう口にしてしまっていた。
特に強い反応を見せないまま、ヴァンはふぅっと煙草の煙を吐いた。意識的に冷静さを装うように煙草をゆっくり口に咥え直しながら、「スカートを履いていた頃もあったんすか」と尋ね返す。
「彼女の両親が生きていた頃には、ありましたね」
「とすると、髪は、やっぱりアレが原因ですか」
明確に言葉にはせずに訊かれて、セドリックは「きちんとした理由を教えられた事はないので、どうなのかは分かりません」と言って続けた。
「ただ、両親と死に別れた後、彼女は剣でバッサリ自分の髪を切り落としてしまったんです」
あの日以来、ラビが髪を伸ばす事はなかった。まるで過去にあった女の子らしい姿を全部否定するように、村の男の子たちよりも少年らしい衣服に身を包み、可愛らしいと呼ばさないかのように普段から顰め面で歩くようになった。