それに、彼女が心配なのだ。ここはホノワ村ではない。

 在住者が少ないザイードのような町では、他人の環境や立場を平気で非難する人間も多くいる。共に王都と王宮を少し出歩いた際、まるで毛嫌うような視線の多さには改めて『悪魔の金色』という迷信の根強さを知って、心配を覚えたほどだ。

 差別の眼差しや言葉を投げられてしまう状況から、彼女の心が傷ついてしまわないよう守りたいと思ってしまうのは、いけない事だろうか。

 その時、ヴァンが吸う癖がある煙草の匂いが鼻先を掠めて、セドリックは顔を向けた。
 ジンが後輩のテトに話を聞かせるそばで、更にその先輩としてたびたび助言するサーバルをそこに残して、第三騎士団では年長組である大柄なヴァンが、往来の人々の様子を眺めつつ歩み寄ってきた。

「たいした商人町っすね」

 そう言いながら、チラリと視線を寄越された。

「チビ獣師、心強い相棒がいるとはいえ、一人にして大丈夫ですか?」