というより、そんな犯罪者がいる方が珍しいような……

 盗賊団は悪党である、と幼い頃に教えられていたラビの想像とは、色々とかけ離れて違っている気もした。一言で表現すると、間抜けな盗賊ではあるけれど。

 人助けの一体何が悪いんだ婆ちゃんが可哀想だろう、と正直に語る姿も悪党らしくなくて、多分、根は悪くないのかもしれない。しかし、それでいて盗みを当たり前に行っているところを考えると、ラビとしては彼らがよく分からなくもなる。

「…………多分さ、お前ら、盗賊としてはちょっと才能がないというか、難しいんじゃないかな」

 恐らく向いていないのでは、と思わず率直な感想を口にしてしまう。

 その時、聞き慣れた声が自分の名前を呼ぶのが聞こえて、ラビは肩越しに振り返った。通りの人々が道を開ける中を、騒ぎを聞きつけたらしいセドリック達が駆けてくるのが見えた。

 ラビのよりも先に彼らの声を拾っていたノエルが、『まぁタイミングは悪くねぇな』と呟いて、落ち着けていた腰を上げる。