『それはあまり賛成出来ないっつうか、使いたくねぇ作戦でもあるんだよなぁ。その場合は、ラビには待機していてもらいたいって気持ちもある』
「どうして?」

 思わず足を止めて尋ね返すと、彼が珍しく視線を泳がせて、もごもごと何事が口にした。

『なんつうか、その、治安面を考えると……』
「よく聞こえないんだけど、二人でそれぞれ捜した方が早いよ?」
『うーん、そういう問題じゃねぇんだよなぁ』

 ああ、俺の姿が見えてりゃ背中に乗っけてひとっ走り出来るのになぁ、とノエルが頭上を仰いで前足で顔を押さえた。

 ラビはよく分からなくて、首を捻った。

『そもそも、こんだけ騒ぎが大きくなってるって事は、次男坊の連中もそろそろ気付くだろうし。――つか、この町にも公的機関が入っているとは思うんだが、その辺もどうなっているのか、はじめに聞いて確認しときゃ良かったな』

 正式に登録されている町であるので、規模は小さかろうと必ず役場関係の組織が存在しているはずだ。そう思案を口にするノエルを見て、ラビは深くは考えずに「あるのなら、とっ捕まえて引き渡したいよね」と相槌を打った。