『おい、ラビ。財布は無事か?』
「え、財布?」
唐突な質問に、ラビは「突然どうしたの?」とノエルを見た。すると、彼が『考えたくはねぇ可能性なんだけどな』と前置きし、顎で騒がしい方向を差してこう続けた。
『後方の騒ぎは、どうやら白昼堂々のスリらしい。んで、何人かの人間が、走っていった男達に財布をスられたと叫んでる』
まさかと思って、ラビは素早くポケットを確認した。
そこに財布が無い事に気付いた瞬間、彼女の堪忍袋の緒はあっさりと切れた。故意にぶつかられたあげく、頑張って稼いだ貴重なお金が入っている財布まで盗られたのだ。
『すげぇ殺気が出てんな。やっぱもしかして――』
「クソ野郎マジ許さん」
ラビは怒りのまま低く呟くと、男達が走っていった方へ足を向けて走り出した。それを見たノエルが、『そうなるよなぁ』と呟いて、怒りで半ば我を忘れている彼女を追った。
彼らが走り去っていったのは、ほんのつい先程だ。人でごった返す中、通行人を無理やり押しのけながら逃走しているはずなので、かなり目立つだろう。
「え、財布?」
唐突な質問に、ラビは「突然どうしたの?」とノエルを見た。すると、彼が『考えたくはねぇ可能性なんだけどな』と前置きし、顎で騒がしい方向を差してこう続けた。
『後方の騒ぎは、どうやら白昼堂々のスリらしい。んで、何人かの人間が、走っていった男達に財布をスられたと叫んでる』
まさかと思って、ラビは素早くポケットを確認した。
そこに財布が無い事に気付いた瞬間、彼女の堪忍袋の緒はあっさりと切れた。故意にぶつかられたあげく、頑張って稼いだ貴重なお金が入っている財布まで盗られたのだ。
『すげぇ殺気が出てんな。やっぱもしかして――』
「クソ野郎マジ許さん」
ラビは怒りのまま低く呟くと、男達が走っていった方へ足を向けて走り出した。それを見たノエルが、『そうなるよなぁ』と呟いて、怒りで半ば我を忘れている彼女を追った。
彼らが走り去っていったのは、ほんのつい先程だ。人でごった返す中、通行人を無理やり押しのけながら逃走しているはずなので、かなり目立つだろう。