「一人で行くんですかッ? 集合場所は――」
「時計が付いてる建物捜すから平気。そっちは仕事があるでしょ、オレはノエルと散策してくる」

 そう答えた直後、テトが「一緒に回るか?」と言葉を投げてきた。その口調は普段と同じようではあったが、直前にハタと気付かされて、急ぎ確認するような強さもあった。
 小腹もすいているだろうし、もしかしたら一人だと買い物も不便かもしれない。そんな気遣いを感じた。走り出した時に、周りの人々がさっと避ける様子を見て、少しだけ心配になったのかもしれないと思ったら、ラビは申し訳なさが込み上げた。

 そんなこと考えなくていいんだよ、と言ってしまいたくなった。自分はもう子供ではないし、心配されたくなくて『強く』なったのだ。

 ノエルと一緒だもの、何も怖いことなんてない。

 それに、これまでだって大丈夫だったのだ。一人でくぐり抜けて、今日まで生きてきた。だからラビは、心配する必要なんてないと言わんばかりの顔で、片手を振って「平気だよ」とだけ言葉短く答えて、その場を離れた。