途端に、ユリシスの秀麗な眉がピクリとした。険悪な雰囲気を感じ取ったセドリックが止めに入ろうとしたが、彼が冷やかに目を細めて口を開く方が早かった。

「露骨に『しつこいな』という顔をするのは、おやめなさい」
「だって、ここにきてぶり返すとか、根ちっこすぎるよ」
「君はここにきてストレートに開き直りましたね。いいですか、寝坊で出発が遅れようとも、私達はあなたを起こしには行きません。ご自分で起きて一階まで降りてきて下さい」

 何故か、一文章ごと強く区切って断言された。

 普通、大事な予定が入っていたら、起こしてくれてもいいんじゃない?

 わざわざ寝坊を叱るために起こしに来ないとか性格悪い――と、彼らが自分を男だと勘違いしていると思っているラビは、そう解釈してむっとした。言われた言葉に、年頃の異性の部屋、という意味が含まれている事に全く気付いてさえいなかった。

 表情からそれを察して、ユリシスはますます眉間の皺を深めた。先程の話し合いで、それはさすがに可哀そうなんじゃないか、というテト達の意見を一蹴したのは、他でもない彼である。