すると、その脇から年長組のヴァンが顰め面を覗かせて、「テト、お前説明が下手だな」と口を挟んだ。普段は強気な調子のジンも呆れたように後輩を見ており、ヴァンの相棒であるサーバルも物言いたげな表情だ。

 セドリックが説明し直そうとする様子を察知したユリシスが、ジロリとテト達を黙らせて、素早く説明役を引き継いだ。

「宿泊客は優遇されているようですから、食事処には予約を入れて席を押さえているというだけで、利用時間は自由です。部屋に上がる際には、カウンターに声を掛けて鍵を取るシステムです」

 とはいえ、と彼はこちらを見下ろすように腕を組む。

「明日は夜明け頃には出発しますので、以前のように、すっかり夜更かしをして寝坊してしまうということだけはしないでください」
「…………まだ根に持ってんの?」

 ラオルテの町に滞在していた際、うっかり寝坊して説教された件にピンと思い至り、ラビは「うへぇ」とげんなりした顔をした。ユリシス、しつこいな、と思った。