「……家族で交流があったからって、いつまでも『ただの幼馴染』に構わなくてもいいのにね」

 彼は優し過ぎるのだ。ラビは長い付き合いを思って、セドリックの横顔をじっと見つめてしまった。
 それぞれ進む道は違っているから、大人になったら自然と離れていくものなのだろう。ラビも、いつかは彼と『お別れ』をしなくてはならない。

 居場所を探す望みについては、幼い頃にとうに諦めていた。だから転々と、人目を避けてノエルと世界を見て回るような『旅』をすることを夢にして、それをずっと心の支えにしてきた。

 ルーファスのように、手紙のやりとりだけでも、近況が分かって安心できるから十分だと思うのだ。旅立ったら戻るつもりはないけれど、もし再会する事があるのであれば、その時が楽しみになることだってあるだろう。

「オレ達が村を出る前に、夫人が王都に戻ってくれて良かったよ」
『まぁその点に関しては同感だな。ただ、幼馴染だからというわけでもねぇからなぁ……』