とはいえ、ラビの帽子から覗く金髪に気付くと、人々はまるで病気でも移るのではないかといった、よそよそしい態度で距離を開けた。店を構えている商人は、目が合うと露骨に「こっちに来るんじゃないぞ」と顔を顰める。
 それはホノワ村で見慣れたものだったので、ラビは「別に立ち寄らねぇよ」という表情を浮かべられるくらいには精神的な余裕があった。

 けれど小さな村内と違い、わざわざ本人に聞こえるような悪口を立てる者は少なかった。こちらに知られるくらい、物珍しげに強い目を寄越してこないところを見ると、関わらない方が吉という姿勢に見えなくもない。

『ここは定住タイプの町じゃねぇ。道中に立ち寄って、通り過ぎる連中ばかりだ。見慣れない民族だろうと、見目に対して抵抗があるような奴が来ようと、すぐにいなくなると知っているから、わざわざ関わるような対応には出ないんだろうさ』

 そばで尻尾を揺らしながら、ノエルが辺りの様子を窺いそう言った。