すっかり公認の独り言になっているらしい、とノエルは男達から向けられる表情で察した。彼女の声は小さくて、近くの人間の他には聞こえていない。要らぬ心配だったらしい、と思わず口の中で小さく呟いて吐息をもらした。

 セドリック達は、姿の見えない親友とまた何事かやりとりしているらしいラビを見つめていた。どこか感動した様子で、こちらをじっと見つめ返したまま「嬉しい」とぽろっとこぼすまでの経緯が気になって、つい反応を待ってしまう。

『俺のことは気にすんなって、こいつらに伝えてくれ。問題はねぇよ』

 姿が見えないのに認識されている状況というのも慣れず、ノエルはそう言って、器用に前足の片方を上げて人間のように顔の横で振って見せたのだった。