だって好きなのだ。もうずっと、片想いである。
早朝出発というタイミングであるし、さりげなく髪に触れてもいいか尋ねてみよう。
セドリックはそう思っていたのだが、気真面目で優秀、そのうえ堅苦しい副官がいることをすっかり忘れていた。
※※※
朝一番、支度を整えて待っていたラビは、ノックされた扉を開けたところで、露骨に顔を顰めた。
しばし無言で見つめたあと、思わず締め直そうとしたら軍靴が入れられて邪魔された。完全に閉められなかった隙間から、切れ長のブルーの瞳が非難するようにこちらを見下ろしている。
「人の顔を見て扉を閉めるとは、失礼だとは思いませんか?」
開口一番の朝の挨拶とは思えない台詞である。
ラビは扉を開け直しながら「なんでお前までくるのさ?」と、上司にさせられないとばかりにドアノブに手を掛けている、副官のユリシスに言い返した。彼の隣には、どこかぎこちなく笑う幼馴染のセドリックの姿があった。
早朝出発というタイミングであるし、さりげなく髪に触れてもいいか尋ねてみよう。
セドリックはそう思っていたのだが、気真面目で優秀、そのうえ堅苦しい副官がいることをすっかり忘れていた。
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朝一番、支度を整えて待っていたラビは、ノックされた扉を開けたところで、露骨に顔を顰めた。
しばし無言で見つめたあと、思わず締め直そうとしたら軍靴が入れられて邪魔された。完全に閉められなかった隙間から、切れ長のブルーの瞳が非難するようにこちらを見下ろしている。
「人の顔を見て扉を閉めるとは、失礼だとは思いませんか?」
開口一番の朝の挨拶とは思えない台詞である。
ラビは扉を開け直しながら「なんでお前までくるのさ?」と、上司にさせられないとばかりにドアノブに手を掛けている、副官のユリシスに言い返した。彼の隣には、どこかぎこちなく笑う幼馴染のセドリックの姿があった。