昔から、少し不思議な感じもある子だった。だから、見えない友達の『ノエル』の話を聞かされた後、知る機会を得た時はどこか納得もしてしまった。

 ああ、良かった。
 彼女は独りではなかったのだ、と安心した。


 正直にいうと、兄のように慕われ、信頼されている『ノエル』が羨ましい。

 相手は言葉を話せる不思議な大型の狼とはいえ、誰よりも彼女の素直な表情を知って、多くの時間を共有しているのだ。これからの時間を、自分がそのように過ごせたらと望んでしまうのも無理はなかった。

 ちょっとした事に焦って嫉妬してしまうほど、セドリックは自分に余裕がなくなっているのを感じていた。

 ラビが愛おしい。十七歳になった彼女は、とても綺麗だ。

 こんなことを白状したら、きっと周りの人は驚くかもしれない。中には、早くに婚約者を持つつもりもないと公言している貴族の知人もいるほどだ。けれど、彼はこう言いたいのである。

 二十一歳。早いとも遅いというわけでもないけれど、結婚生活にものすごく憧れを抱かずにはいられない。彼女の夫になりたいし、彼女を「妻です」と紹介できたら……と妄想してしまい、また一人恥ずかしさに震えるしまつだ。