精神的なものが影響して成長が少し遅れているのかもしれない、と母は気にかけていた。彼女は子供のままのように純粋で、性別の意識もあまり強く持ち合わせていいないところもある。

 けれど、セドリックとしては焦りを覚えてしまう。

 彼女は、十七歳。もう子供ではないからだ。

 彼女の心を動かして、初めて『気になる異性』として存在を刻みこむ男が現れたらと思うと、冷静でいられなくてずっと落ち着かなかった。だから、こうして一緒に過ごせる時間が作れた事は嬉しい――けれど。

 問題は、彼女が二年年前に比べると、ぐっと大人に近づいている事だろうか。

 一年会えなかったというブランクがあるせいか、これまであまり素の表情を見られなかったせいか。
 会えない時にいつも思い返していたそれを、目の前で見られる回数が増えた事すら、勘違いしてしまいそうになるくらいに嬉しい。

 いや、そうじゃないのだ。そのせいで、いちいち愛らしい仕草が胸に突き刺さるのが問題なのである。我慢に我慢を重ねてきたせいで、呆気なく頭がぐらぐらと沸騰してしまうのだ。